Story-2

「狽ヲぇぇっ!!?滝に向かって飛び込む?!!」

顔を一瞬顰めたかと思えた彼女から発された言葉は意外なものだった。
この物凄い勢いで水が落下している一筋の自然の力。
とてもじゃないが飲み込まれてしまえばどうなってしまうか分からない。
ましてや、草タイプの自分はともかく、それを言い出した彼女は炎タイプ。
ヘタをすれば命だって危うい選択肢だ。
だが、彼女は繰り返す。

「このまま此処に居ても仕方がない。
 私達が先に進むには、これしかないよ。」

一体何が彼女にその答えを導き出したのかは分からない。
だが、その意志を曲げるつもりはないようだ。
正直言って、怖い。
滝の向こう側が断崖絶壁ならば、勢いよく飛び込んだが瞬間衝突は免れない。
それに万が一勢いが弱くて滝を突っ切れなければ、上から怒涛の如く降りそそぐ流れに飲まれてしまう。
やるならば、全力でやるしかない。

リタはしばらく思案した。
一体どうするべきなのか、どうしたらよいのか。
恐怖と理性が心の中で格闘を続ける。
失敗してしまった時のことを考えると、腸が縮こまり、煮え返りそうになる。
どうしよう、どうすればいい?
悩んだ瞳を自然と彼女に促せば、真剣な面持ちで自分を見つめ返していた。
意志の強い、勇敢な瞳。
自信に満ち溢れ、核心をどこか奥底に秘めた頑なな心。
それを目の当たりにし、ふと感じた。

ユウなら…ユウのいう事なら、信じてみたい。

勿論まだ出逢って間もないパートナーだ。
だが、彼女を信じて進んで行く事に不思議と不安は感じない。
信頼という見えない力を、今この決断で試してみる時ではないのか。
逃げているだけじゃ、何も始まらないのだから。
息を詰め、グッと強く飲み込んで、瞳を開いた。

「……うん、ユウがそう言うなら、行こう!滝の向こう側へ!」

迷いを捨てた二匹は、己の四肢を、その場で強く力強く踏みしめた。



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