Change-4

「くわっ?!ズズズ〜ズズッズズズズ〜!!!!(何で?!よりにもよってキミまで入れ替わってるんだよ!!!!)」
「ちゃも!!ちゃもちゃもちゃ〜もちゃも!!!!(そげなこと!!こっちが聞きたかよ!何であんたまで!!!!)」

ミズゴロウとアチャモは通常おとなしいと言われているので、 常日頃では絶対聞くことが出来ないようなその罵倒現場に居合わせた森のポケモンたちは、 ビクビクとしながらその光景を眺めるばかりであったろう。
幸いな事に、今此処には彼らたちしか居なかったのだが。

「…ズッ!ズズズ〜ッズッズズッズ〜ズッ…(…はっ!もしかして入れ替わったのってボク達だけじゃないんじゃ…)」
「ちゃも、ちゃもちゃもちゃ?(それ、どげんこととね?)」
「ズッズズズ〜?ズズ〜ズズズズ〜ズッズッズズズ〜ズズ、ズズズズ~ズッズズズ〜ズズズズズッズッズズ。
(だってそうだろ?人間とポケモンが入れ替わったていうだけでもおかしいことなのに、それが同時に"ボクら"に起こってるんだ。)」

じゃあ、ボクら以外の人たちはどうなのさ?
少年は率直な疑問を口にする。
確かに、この理屈からすると、もしかしたら世界はとんでもない事になっているのかもしれない。

「ズズズズズ〜ズズッズッズズズズッ…ズズ〜ズズ〜ズズ…(でも現実的にはありえない事だし…一体何がどうなって…)」
「ちゃもちゃも、ちゃもちゃもちゃ〜もちゃも!!(それよりあんた、そげなこと言ってる場合じゃなかとよ!!)」

二人の間にまた沈黙が走る。
先程自分達を置いていってしまった本体こと、彼らのパートナー。

「「ZUZU!!(ちゃも!!)」」


change-4


森を一目散にかけていった"二人"が向かった先は、大きな湖の(ほとり)だった。
水面は霞に覆われていて、その空間一体が湿り気を帯びている。
新緑に溢れる、瑞々しい大地。
そこに横たわっていたのは蒼く丸い身体をした動物(ポケモン)、 その側には更に小さく蒼い身体が寄り添いながらキィキィと泣き声を立てていた。
"少女"が一足早く、その現場に辿り着く。

「どうしたの?!一体何が……っ!!?」

"少女"は驚きで目を大きく見開いた。
そこに居たのは、全身傷だらけになって自力で身体を起こすことが出来なくなるほど弱っていたマリルであった。
側で泣いていたのはルリリ。
恐らく親子で、何らかの事情があって何者かに襲われてしまったのだろう。
息が弱く、このまま放っておけばHP(ヒットポイント)が尽きてしまうに違いない。
一刻も早い手当てが必要だった。

「とりあえず体力を回復させなきゃ…オレンかオボンの実を…っ!!」

確か彼女の持ち物の中にあったはずだ。
"少女"は記憶を頼りに、自分が身に付けている荷物の口を開ける。
そこに徐に"少年"が静止の声をかけた。

「待って、そこまで弱ってたら木の実を食べるなんて出来ないよ。別の方法で回復させなきゃ。」
「別の方法って言ったって、どうやって…」
「確かルビー君が傷薬を持ってたはず…ちょっと待ってて。」

そう言って"少年"は自分が背負っていたリュックの口を開け、直ぐに救急箱の中から"傷薬"を取り出した。
これは確か、この間立ち寄った(ショップ)で"彼"が買い置きしたものだ。
自分も一度使ってもらったことがある。
回復力は小さいが、今のマリルにとってはこれ以上無い回復をもたらすはずだ。
"彼"が自分にしてくれたように、そっと蒼い身体に薬を吹きかけた。
吹きかけたところから徐々に波紋を広げるように傷が癒えていく。
"少年"は穏やかな笑顔で、マリルの顔をそっと覗き込む。
その表情に、"少女"は一瞬ドキリとしてしまった。
彼女と共に居る時には常に喧嘩ばかりしていて、怒っている様しか見たことが無かったから。
実際の彼がどんな人物(ひと)なのかは想像の域を出なかったのだが。

こんな優しげな表情(かお)も出来るんだ…

その時"少女"は自分の顔が赤く染まっている事を自覚し、飛び上がるように驚いた。
その瞬間閉じられた瞳が開かれ、母親の目覚めを喜ぶ子供の声があがる。

「ルリ〜!!」
「…リル、リルル?」
「どうやら気が付いたみたいだね。よかったね?ルリリちゃん。」
「ルリ〜!ルリルリ〜!!」
「後は傷の手当てと…あっ、えっと……サファイアちゃん?」
「……っ!あっ…そっそうね!!オレンの実があるから、はい!マリルちゃん!!」

ふと我に返った"少女"はカバンの中から青い果実を取り出し、それを手で軽く小さくした物を母親に与えた。
マリルはそれを少しずつ、ゆっくりとだが食べ始める。
"少女"は更に己の主から学んだ知識を駆使して、持ち合わせていた木の実を組み合わせ、 彼女の傷を癒す為の調合をして、更にそれも食べさしていく。

「ちょっと苦いかもしれないけど、我慢してね。」
「リル…リルル……」

絞った果汁も忘れずに調合させ、それを傷薬代わりにその体表にこすり付けていく。
傷口に痛みが走り、顔を歪める彼女に「大丈夫、直ぐによくなるからね。」と優しく声をかけている"彼女"の姿。
"少年"にはそんな彼女の姿を認めるのは初めてだった。
博士の所ではいつも研究所に置いてきぼりで、旅に出れば出たでいつも彼と衝突ばかりしていたので、その笑顔を知らなかったのだ。

そんな穏やかな表情(かお)も出来るんだ…

その時"少年"は、自分に湧き上がった感情に激しく驚いた。
いつもとは違う一面を垣間見ただけであるはずのに、そんな事が起こるとは思っていなかったのだ。
気持ちを落ち着かせて、赤面しかけた顔を元に戻そうとする。


その時だった。
"少女"を見つめていた"少年"と、側にいる"少年"を気にしてしまった"少女"の目がかち合った。
紅い瞳には藍が、藍い瞳には紅が映る。
水面から照り返されてくる陽光が、薄暗い森を明るく照らす。
その光景はまるで光の中に人影(シルエット)が浮かび上がっているような、正に幻想的な空間の中。

互いが主と入れ替わっている事を知りえない"二人"。

『…なっ、何を考えてるのよわたしってば!///…相手はサファイアちゃんのライバルの"あの人"なのよ?!』
『…なっ、何考えてるんだよぼくは!相手はサファイアちゃんだっていうのに…///』

お互いに一斉に目線を逸らす。
だだ、"二人"には何となく感じていたものがあった。
まだ研究所で博士と共に過ごしていた頃の、あの日々が蘇ってくるような感覚。
一緒に遊んで、一緒にご飯を食べて、一緒に色んな話をした…

『…わたしが好きなのは……///』
『…ぼくが好きなのは……///』

旅に出るまでは差ほど強く意識しなかった、淡い感情(おもい)
過去の記憶に残る面影が、何故これほど"目の前の相手"に重なってくるのか。
そこで、先程の主を交えた時の会話を思い出す。
どこか不自然だった会話、そして先程の言動は"彼""彼女"に相応しくないはずなのに寧ろ自然な感じがした会話。
もしや、という予感が走る。

「「……もしかして…」」


ちゃもちゃん?(ZUZUくん?)


風が二人を煽るように凪いだのは、正にその時であった。




…つづく?




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一見ルサがメインかと思いきや、実は"ZUZU×ちゃも"だったというオチ(笑)
てかうちのサイト、ルサにミクナギにZUZU×ちゃも支援って正に大手様とまんま被ってるじゃないですか(大笑)
…同盟に参加しようかな?(苦笑)
あくまでルサメインなんで単体作品は出現しないとは思いますけど;;

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